上を向いて、歩きたかった | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

上を向いて、歩きたかった

上を向いて歩こう

いつもそう思っている。

がしかし、上を向いて歩くことには危険が伴った。

自宅から駅までの道すがら、僕はいつも下を向いて歩いている。

なにも、気分が沈んでいるとか、

絶望しているわけではない。

むしろ、以前になく気力は充溢し頭の中はクリアで、

そして鎮まった心持だった。

だのに、何故下を向いて歩くか?

ということになる。

実にくだらない理由からだ。

それは、歩道に吐き出された痰を踏み付けてしまうからだ。

今朝も、痰を発見しては跳び越えたり、左右に避けてやり過ごした。

発見するたびに数を数えてみたが、

なんと12個もあった。

信じられない数字だ。

早朝でさほど人通りも無いのに、だ。

痰を地面にはきつける位なら、飲み込んでほしい。

自身の中に溜まった毒は吐き出した方がいい事もあるが、

吐き出す場所は 、公の場所であってはならない。

毒舌も

人の悪口も

だから、

みな、下を向いて歩く事になる。