日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -6ページ目

料理の心得

料理の心得。

そんなものは私にはなかった。

見様見真似で食材を焼いたり揚げたりするだけだった。


最近は揚げ物ばかり作っている。


牛蒡と人参を刻んでかき揚げにしたり、

茄子や玉葱を揚げてみたり。


これでは太ってしまいそうだ。


失業して以来唯一の自慢が、

腹回りが細くなったということだったというのに。

もっとも、

昨年買ったジーンズがユルユルになっただけで、

体型は殆ど変化無く、

良い意味で痩せているが、

ある意味では貧相な風体なのだった。


今年は涼しい夜が多い気がする。


窓を開け放てば、心地よい風が吹き込む。


暑さのあまり唸ってしまうような夜は、

指を二、三本折るくらいだった。


僕は職業訓練校から帰宅すると、

床に転がっている馬鈴薯をひとつ拾い上げ、

昨日来、百円ショップで買ったおろし金に内蔵される

スライサー部分で馬鈴薯一つを輪切りにした。

それを油で揚げて塩をまぶす。

今朝炊いた飯と納豆、

そして、自作ポテチという夕食。

三百円の安ワインの残りをすすりながら、

セミの鳴き声に耳を傾ける。


何と長閑な、

平穏な夕暮れ時か。



失業者という現実。


それ以外は。


………。

夏の昼下がり

ゆうだち

雨音

なんてこともないその日に

僕は知ったんだ

本当の

価値ある智慧を

闇の仕事

嫌な気分や嫌なとき、どうする?

そんな時は微笑むのさ

それから何か言ってみる

その状況と関係ないことで良いから

そして

そう

そっと

相手に近づき

やさしく

いたわるように




殺すのさ