日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。
大きな流れ。

逆らわず、身を任せるがいい。

もがけばもがくほど、ゴールは遠く。



ようこそ、山南零のブログへ。

日々の出来事を、数年にわたって綴り続けています。


小説や詩も、気が向いたときに綴ります。



結婚生活の破綻。

入院。

離婚。

解雇。


そして、



日々を生きる。



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本当の自分について

その日、僕はいそいそと小学校の同窓会へ足を運んだ。

以前だったら、絶対に参加はしなかったと思う。

僕は小学校の同級生から自ら距離を取るようになった。

昔の自分に蓋をしたのだ。

僕は変わってしまったから。

そんな自分を誰も喜ばないだろうし。

相手にしたくないだろうし。




僕は小学生の頃、

とても快活で

大胆で

馬鹿で

変わってて

面白い子供だった。

同窓会の席で、みんなが僕のことを話してくれた。

僕は自分の話で、腹を抱えて笑った。


自分の事なのに、こんな面白い話は、滅多にないとすら思えた。


僕は自分の事を殆ど忘れてしまっていた。


僕が明るかったのは、小学生までだった。

その後は長いトンネルの中に入り、

出口は見えず、

自分がどんな人間かも忘れてしまっていた。

中学、高校と、僕は明るさを無くし、

大学を卒業し社会人になっても、根っこの部分では屈託を抱えていた。

同窓会の席で、同級生がこう言った。

「~会社に就職するなんて、びっくりしたんだ。そんなんじゃなくてさ、絵描きとか、そっちの方向へ進むもんだと思ってた」

僕は思い出した。

ああ、確かに絵を描くのが大好きだったし、

実際に芸術系の学校へ行こうと思い、

しかし、両親は別の道を望み、

僕自身も、親やその他大人たちの意見を鵜呑みにし、
芸術の道で生計を立てるのは一握りで、

その中に入るのは至難の技で、

こんな僕には到底無理だろうと、自分自身を納得させた。

僕は自分自身が嫌いだった。

自分自身にひとかけらの自信も、

信頼も感じることができなかった。

僕は暗いトンネルの中でもがき苦しみながら、

幾つかのことを体験から学んだ。

血を流しながら。

僕はここに来てやっと、トンネルを抜けることができた、と

感じている。

同級生と昔話をして大笑いし、楽しい時間がすぎて行った。

みんな子どもの頃の思い出をとても大事にしていた。

僕以外の全員が。

また、小学生の頃の想い出を、よくもそんな細かいことまで覚えてるものだと感心させられた。

話題は尽きなかった。


今やってる仕事とか、

そんな話は誰もしないし、誰かが話したとしても、

誰も面白がらなかった。

僕と同じくらい先生に殴られた(当時はそれが普通だった)友人がポツリと言った。

「この年になってさ。何か昔の自分に戻った気がするんだよな。馬鹿だったあの頃の自分にさ。今よ、家族によく馬鹿だって言われるんだ」

僕はハッとし、僕も同じだよと言った。

僕の本質は陰か。

それとも陽か。

僕は昔の自分に会って、本当の自分を再確認した。

友人が僕に語る。

「素の自分でいるのが一番なんだよ。うん、大丈夫、お前はお前のままでいいんだよ」

僕は嬉しかった。

みんな僕のことを憶えてくれいた。

僕は、

自分に帰った。

自分を取り戻した。

すべてを失い、すべてを得た

僕はもう大丈夫です。

もう、自己評価を下げるような発言もしたくないし、

僕が正しくて、相手が悪いなどと言うつもりもありません。

もう、

立ち直りました。


前に進み始めました。


僕は今までの人生で、どうしても自分自身を好きになれなかったのだけれども、

今は、自分が大好きです。


(アホみないなはなしですみません)


日々を生きるために必要なもの。


それは、とても、


簡単なことだったのです。


まず、自分自身を大切にし、

自分自身を好きになる。


そこから始めないと、何をやっても上手く行きません。

(これは、僕の経験から断言できます)




生きることが苦しい、辛いと感じている人は、

まず自分を好きになることから初めて見てください。


きっと、昨日より良い今日になる筈です。











奇妙な夢と、平行世界

ある日の深夜、僕はとても奇妙な夢を見た。

その夢は、

いつもの悪夢とは、違っていた。

もちろん、夢を見ている間はそれが夢だとは

文字通り、夢とも思っていなかったのだが。



夢の中の僕は、ぬれた路面がオレンジ色の灯を照り返す夜の町を、

フロントガラスから眺めていた。

夜の町には不穏な空気が漂っていた。

どこかはわからないし、夢の中の僕は、そんなことは気にもかけていなかった。

僕は夢の中でも、ひどく疲れていた。

驚いたことに、夢の中でさえ、仕事の不安に胃を収縮させ、ひどく気分が悪かった。

なんてことだ。

僕は疲れた体にむち打ち、車を運転する。

後から思うと帰宅途中だったのかもしれない。

夢というのはいつだって曖昧で、断片的で、

それでいて、絶対的な臨場感とリアリティーを秘めていた。

それはもうひとつの現実だった。


僕は交差点に車を止めたのだが、それは唐突に始まった。

僕は意識を失った。

そして、衝撃とともに目覚めた。

居眠りをして、ブレーキから足を放してしまい、

前方の車に追突したのだ。

そのとき思ったことは、とんでもないことをしでかした、ということだった。

えらいことだ。

仕事に影響しないか。

修理代は。

ぶっつけた相手はどうなってる。

一瞬にしてそんな思いが、頭の中を流れ去っていった。



目の前には何故か、バックシートが見えている。

何故かわからなかったが、その光景がとても恐ろしく、

僕は恐慌した。

すると、目の前の光景がフロントガラスにもどった。

僕はよけいに怖くなり、叫ぼうとする。

視界がぐるぐると回る。



天井





頭の中で理性が瓦解したとき、僕は目を覚ました。



しかし、それで終わりではなかった。

僕の体は凝固し、一寸も動かなかった。

声も出なかった。

部屋の中は、まるでどこかにあるもう一つの世界が重なり合っているようで、

紫色の靄にうっすらと覆われていた。

必死で体を動かそうとしたが、どうにもならなかった。

声も出ずにもがき苦しんでいると、隣に母の気配を感じた。

僕はなんとか腕を動かし、母に助けを求めようとした。

渾身の力で母を起こそうと腕を上げ、母に触れようとする。

僕の体から、まるで腕だけが引きはがされるように母の方へ吸い寄せられた。

僕の腕は、母の体をすり抜けた。

僕は完全な恐慌状態に陥った。

大声で叫んだが声は出ない。

横にいるはずの母に視線を向けることもできない。

二度

三度

四度

五度

僕は叫び続けた。

六度目か七度目でやっと声が出た。


そのとき僕は、誰もいない深夜の寝室で大声を上げていた。

そして、夢から覚めたことを悟った。

母がいないことも。



目覚めた僕はじわじわと沸き上がる恐怖に暫し放心し

夢の中で感じた母を思った。

母がこの世に存在しないという事実を、そのときはじめて受け入れたのだった。

母は僕が高校を卒業するときに亡くなっている。

夢の中では、母の存在を疑いもしなかった。

とても不思議なことだ。

夢の中で母の存在を確かに感じた。

とてもリアルで疑う余地はなかった。

そのとき、僕の中で突飛なアイデアが浮かんだ。

母が生きている、枝分かれしたもう一つの世界がどこかに存在し、

その世界と夢が繋がっているのではあるまいか?

なぜ、人は夢を見るのか?

なぜ夢を見ている間は、それが夢だとわからないのか?

人の意識だけで、あれほどまでにリアルな世界がはたして、

創造可能なのだろうか?

過去の記憶の断片から、夢が創造されるのだとしたら、

全く身に覚えのない人物に出会ったり、

一度も行ったこともない地が夢に出てくるのは何故なのか?

僕の仮定はこうだ。

それは夢がもう一つの現実だからだ。

確かな実体をもった世界が存在するからだ。

そんな妄想に取り付かれた自分を苦笑し、

僕はもう一度眠ろうとした。

しかし、母の姿が蘇り、眠ることができなかった。

僕は母に会いたいと思った。

そして、

いずれ、会えるだろうと、

確信した。
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